HUB-SBA MAGAZINE

「経営管理プログラム」の魅力――島本実教授に聞く③

2022年11月14日

「学問の府」での深い学びこそが、経営の予行演習になる

2018年度にスタートした一橋大学大学院「経営管理プログラム」は、東京都心に立地する、社会人が日本語で学べるMBAとして、年々人気が高まってきています。その特徴や魅力について、ワークショップを担当する島本実教授に聞きました。

ワークショップ(WS)で身につけたことは経営の「予行演習」

――2年次のワークショップ(WS)では、どんな点に留意して指導されていますか。

その後、2年生になるといよいよ、最初の1年間で固まった自分の関心の高いテーマの研究にWSで本格的に取り組んでいくことになります。

多くの学生の皆さんは、今働いている会社を良くしたいと考えてMBAに来ています。そうした思いに基づいてリサーチを進めていくうちに、「このテーマで本当に研究になるでしょうか」などと不安を口にする人もいます。そうしたときには私はいつも、「いいよ、がんばれ、自分が大事だと思うテーマが大事だ。しかしまず、本当にそうか確かめてこい」と背中を押すようにしています。書物から学ぶことも多くありますが、なにより自分の関心あるビジネスの現場を自分の目で観察し、関係者の声を聞くことはそれ以上に重要と私は考えています。理論と現実の往復運動はそこから始まります。

――修了生にどんなことを期待しますか。

島本実教授

「学習棄却しなさい」という伊藤邦雄先生の言葉を紹介しましたが、やはり、MBAの2年間を通して、自分の思い込みを打ち破った人は大きく成長します。自分が取り組む問題に関して、誠心誠意向き合っていくことによって、自分の思い込みを打ち破ることができるのではないかと思います。

MBAでの学びによって自分の考え方が変わりました、目から鱗が落ちましたという人が多く出てきたら、それがおそらく教育の成功だと私は思います。学生の皆さんがそうした思いをもって修了できるよう最善を尽くしているつもりです。

WSで学ぶことをはじめ、経営管理プログラムで学生が経験するさまざまなことは、その後、ビジネスの世界で実際に経営に関わるための予行演習でもあります。ですから、修了後、MBAホルダーになった後も、自分の会社の中にある問題を見つけ出し、何が問題なのかそのメカニズムを明らかにし、それを改善していくための具体的な方策を考え続けてほしいと思います。その改善策を周りの人にきちんと伝えることにより、人を巻き込み、会社を良くしていくことができるでしょう。

本学修了生がビジネススクールで学んだことを生かし、市場や技術の流れを読んで、未来のビジョンとそれに至る戦略構想を描けるなら、またその強いリーダーシップで組織内外の多くの人に協力してもらうことができるなら、それは自分の会社はもちろんのこと、社会全体の発展につながると私は強く信じています。

2021年度に島本教授が担当した2年生向け WSの動画
https://www.youtube.com/watch?v=hI5Un65IVLA

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