HUB-SBA MAGAZINE

「ホスピタリティ・マネジメント・プログラム」の魅力――福地宏之准教授に聞く②

2022年10月26日

観光・ホスピタリティ産業の経営リーダー育成を目指す実践的教育の場

一橋ビジネススクール(HUB)「ホスピタリティ・マネジメント・プログラム」は、観光・ホスピタリティ産業の経営人材の育成を目的に開設された、社会人向けMBAコースです。その特徴や魅力を、同プログラムの講義やワークショップを担当する福地宏之准教授に聞きました。合わせて、福地准教授が関わっている三枝匡経営者育成基金による寄附講義や研究会の目的、意義についても語ってもらいました。

高い専門性と問題意識を武器に、企画部門や新規事業分野で活躍

――福地先生は1年次の春夏学期の「導入ワークショップ」、秋冬学期の「基礎ワークショップ」、2年次の「ワークショップ」も担当されています。

福地宏之准教授

ワークショップ(WS)はゼミナール形式で行います。導入WSはホスピタリティ・マネジメント・プログラムの枠で入学した学生に限定していますが、それ以外の基礎WS、2年次のWSは、経営管理プログラムの学生にも開かれています。2年次の最後に、修士論文に相当するWSレポートを提出してもらいます。

学生の WSレポートの内容としては、実際の観光地や旅行会社、宿泊施設などを対象に、その経営やマーケティングを研究する方が大半です。毎年数名は2年次から、ホスピタリティWSに所属する経営管理プログラムの学生がいます。たとえば金融業界出身のある学生は「いつか自分の出身地に戻って、地域活性化に取り組みたい」という夢があり、その方法を探る中で、「地元の観光産業の立て直しがカギになる」と気づき、ホスピタリティWSに入ったとのことです。

――ホスピタリティ・マネジメント・プログラム修了者は卒業後、どのような活躍をされていますか。

これまでの傾向をみると、経営企画部門や、新規事業開発、DX推進などの先進的な取り組みを担当する部署でマネージャーとして活躍している方が半数以上です。

本プログラムの学生は、経営管理プログラムの学生一般と比べると、企業派遣の方がやや多いだけに、やはり組織全体を動かすポジションでの活躍を期待されているのでしょう。企業派遣でない方も、自らの企業や業界に問題意識を持って入学する方が多いので、卒業後は同様に経営者予備軍としてのキャリアを歩む方が多いと言えます。

三枝匡経営者育成基金の研究会で現役生・修了生の学びのコミュニティを築く

――福地先生は三枝匡経営者育成基金による寄附講義や「戦略者経営者研究会」(以下、研究会)にも関わっています。概要を教えていただけますか。

三枝匡経営者育成基金は、日本を代表するプロ経営者の1人である寄附者の三枝匡氏(ミスミグループ本社名誉会長)の「将来の日本を支えるには経営者人材の育成が急務」という信念のもとに事業を実施しています。現役MBA生向けの寄附講義と、現役生と修了生向けの研究会、一般向けの公開シンポジウムが3本柱です。寄附講義と研究会は2021年から始まりました。

寄附講義は、2021・2022年度とも、秦充洋客員教授の「ビジネス・デベロップメント」、土合朋宏客員教授の「経営実践論」を千代田キャンパスで開講しています。千代田の経営管理プログラムの学生のほか、国立の経営分析プログラムの社会人学生も受講できます。これら寄附講義は、通常の講義で学ぶ理論と企業経営の現場における実践とをつなぐ知識融合の機会として、重要な役割を果たしています。

一方の研究会は、MBAの修了生にも経営者人材としての学びや自己研鑽をし続けてもらうこと、また現役生と修了生の「学びのコミュニティ」として互いに切磋琢磨してもらうことを目的として、実施されています。企画運営には現役生・卒業生双方が直接関わっています。

研究会はこれまでに、ファミリーマートCMOの足立光氏、ラクスルCMOの田部正樹氏、NEC執行役員(CFO)の青山朝子氏など、実務界の錚々たるメンバーを招いて、ほぼ月に1度のペースで行っています。貴重な現役経営者の生のお話からは、たとえば「胆力」といった、われわれ教員には教えられないものを掴みとることができるので、学生にとって得難い学びの場になっていると思います。

ホスピタリティ・マネジメント・プログラムの特徴
https://www.ba.hub.hit-u.ac.jp/programs/hmp-quality/

一橋ビジネススクール 三枝匡経営者育成基金 
https://www.saegusa.hub.hit-u.ac.jp/

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