2026年06月16日

2026年3月修了
コンテンツ・プロデュース企業勤務
古海 敬さん
私は、エンターテインメント領域のコンテンツ・プロデュース企業においてアニメやキャラクターのプロモート事業に携わっております。MBA入学の経緯は、新型コロナウィルスの流行によりすべてのイベントが中止となり、会社からは部門縮小の方針が出されました。当時はまだ部長補佐の立場でしたが、何か打ち手がないのかと模索する中で、こうした状況下でも施策を打ち出せるように「しっかりと経営を学びたい」という思いが強くなりました。MBAの入学前にもマーケティングや経営学の基礎的な知識については別の大学の通信制で学んでいましたが、通信制で学んでいた時は、書籍や論文を読むことが中心で、コロナ禍の中でアクティブな学びを実践することが難しかったからです。
通信制の大学を修了し、より深く経営を学びたいと考えた時、理論と実践的な学びのバランスが取れた教育環境があるビジネススクールで学びたいと考えました。その点、一橋ビジネススクール(HUB)においては、"理論と実践のバランス"という自分の希望に合っていましたし、私の仕事であるコンテンツ産業は、お客様に夢や希望を形にして届ける、という意味でサービス業やホテル業といったホスピタリティ産業と通じます。HUBにはこうしたホスピタリティ産業に特化したマネジメントやマーケティングについて、この領域のスペシャリストに学べるホスピタリティ・マネジメント・プログラムが設置されているというのが大きな決め手になりました。
経営管理プログラムのサブプログラム「ホスピタリティ・マネジメント・プログラム」では、ホスピタリティ専用科目のほか、経営管理プログラムと共修のコア科目と選択科目を学びます。コア科目で印象に残っているのは、加藤俊彦先生(経営管理研究科教授)の「経営戦略」です。加藤先生の講義では、一番大切なMBAで学ぶ意義について問われ、気が引き締まる思いで受講していた思い出があります。また、加賀谷哲之先生(経営管理研究科教授)の「財務会計」では、基礎的な簿記から徹底的に叩き込まれるところから始まりました。途中で中間テストもあり、「大学院でも中間テストってあるんだ」と少し意外に思いつつ、こうしたMBA1年次のカリキュラムによって、経営の基礎リテラシーを高めると考え、テスト勉強にも励みました。当時、コロナ禍明けで各種のイベントが再開され、仕事の面では急に忙しくなっていたので、学習との両立には苦労しました。しかし、都心のキャンパスということで職場からも歩いて行ける距離で、また社内の理解も得ながら乗り切ることができました。
私のMBAでの研究テーマは、「推し活はなぜ継続するのか」です。「推し活」は、昔は「ヲタク」と言われるサブカルチャーの位置づけでしたが、最近ではむしろ「推し」がいるのが当たり前で自身の「推し活」を、SNSで発信するようなメインカルチャーになりました。そうした推し活をする人がどのような価値を見出して、なぜ継続しているのかを解明するというテーマで研究を始めました。
調査方法は、マンガやアニメ、アイドルの3年以上推し活をやっている20-40代の男女20人くらいに1時間程度のインタビューを行い、データを集めましたが、分析手法についてはどの方法にするか迷っていました。しかし、ワークショップの担当教員の福地宏之先生(経営管理研究科准教授)との壁打ち議論を続け、最終的にはマーケティング学者のバーンド・H・シュミット教授(米国コロンビア大学ビジネススクール)の経験価値マーケティングの理論を用いて解明するという研究方針を決めることができました。この理論に基づき仮説をたて、調査結果の分析から検証を進めていきました。私が所属するサブプログラムの「ホスピタリティ・マネジメント・プログラム」は、1年次から2年間、ワークショップの先生が代わりません*。MBAの2年間を通じて福地先生の熱いご指導を受けることができ、無事にこの研究をやり遂げワークショップレポートにまとめることができました。
*経営管理プログラムのその他のワークショップでは、1年次前半・後半、2年次にワークショップの入替えがあります。
MBAでの学びにより自分自身の考え方のバックボーンができたことで、仕事において裏付けのある自信に繋がりました。仕事と両立しながら仲間との議論や修士論文などの課題に対して向き合ったことで、社会人として基礎力が向上し仕事上で余裕が生まれるようになりました。また、MBAはゴールではなくスタート地点だと感じています。修了して終わりではなく、このプロセスを踏んだことで、さらに探求心が強くなりました。
今後は、MBAでの学びを活かし、経営的視点から新しい事業を開発・挑戦したいと考えています。現在は自社の2大軸であるメディア領域とエデュケーション領域の手法を掛け合わせ、他事業部の責任者と2週間に1回程度のワークショップを開催しています。HUBで学んだ事業開発メソッドに従いながら、新しい事業の創出に向けて早速アクションを起こしています。
これを読んでいる人は、MBAには関心があるけれど本当に続けられるだろうかと不安に思っている人が多いと思うのですが、そうしたことは気にせず飛び込んでいただきたいですね。確かに、オンライン中心のMBAに比べると使う時間とエネルギーはかなり多くなりますが、その分、密度はとても濃いですし、共に過ごした仲間との関係性は強く、さらにHUBでは修了後にもさまざまな学びの機会を提供してもらえます。ですから、「やるんだ」と決めて飛び込んでしまえば、あとはやりきるだけだと思います。その飛び込んだこと自体を自信に変えて頑張っていただきたいと思います。
(2026年6月)