HUB-SBA MAGAZINE

わたしの一冊 一橋大学教員のお薦めの本
第22回 鈴木雅貴(経営管理研究科准教授)

2026年03月04日

鈴木忠平著(2021/9/24)
『嫌われた監督:落合博満は中日をどう変えたのか』文藝春秋

img_blog20260304_01.jpg

プロ野球の監督として(もちろん選手としても)抜群の成績を残す一方、そのチーム運営やメディア対応から度々バッシングを受けてきた中日ドラゴンズ落合博満監督の実像を、チーム関係者への取材を通じてスポーツ新聞記者の立場から迫った1冊である。

プロ野球界の常識・習慣から外れた言動によって「オレ流」と呼ばれる落合だが、本書を読んでみて、自身に課せられた契約内容の遂行というビジネスパーソンとしては至極当然の行動原理が彼の根幹にあったことがわかる。ファン、メディア、親会社といった様々なステークホルダー(利害関係者)がいる中で、契約目標(チームの優勝)を達成するための選択を実に粛々と行っている。契約遂行のためには、時に業界の慣習に背き、時に冷酷な取捨選択を実行する必要がある。このような現場監督としての彼の姿勢は、マネジメント業務に携わる一般のビジネスパーソンにとっても大いに参考になるだろう。プロジェクトの最適化問題を解くためには、チームにとっての目的関数と制約条件を明確に定義する必要がある。

このように、本書はプロ野球やドラゴンズにあまり興味のない人にも一読の価値がある一冊である。ただし、当時の選手やチームスタッフが実名で登場するため、ドラゴンズファンになるとさらに楽しめるだろう。落合監督退任以降、長期間低迷が続くドラゴンズだが、今年はどうであろうか(2026年2月執筆)。頑張れドラゴンズ!

【Information】一橋大学附属図書館

鈴木忠平著(2021/9/24)『嫌われた監督:落合博満は中日をどう変えたのか』文藝春秋

HUB-SBA MAGAZINE