HUB-SBA MAGAZINE

自分をアップデートできていないモヤモヤを感じた時がベストタイミング

2025年08月20日

和智 麻理子さん

2025年4月入学
大手シンクタンク勤務
和智 麻理子さん

時間に追われる中で新しいことのインプットを渇望

私は、学生時代に法律を学び、企業では長らく法務部門でキャリアを積んできました。経営の勉強はしたことがなかったのですが、数年前に社内ローテーションで異動した海外事業本部において、新たなビジネスの立上げや契約交渉などに携わり、ビジネスのダイナミズムを経験したことにより経営に興味が湧きました。また、働き方として、できるだけ常に新たな知識や経験をインプットして自分をアップデートさせたいと考えているのですが、小学生の子どもとの時間も大切にしたいですし、仕事も忙しく時間に追われる毎日を過ごしていました。ですので、どうしてもこれまでの知識や経験という貯金を使うことが中心となっていることに対する漠然とした危機感がありました。同時に、新しいことのインプットへの渇望感を持つようになりました。そうした時に、友人や職場の仲間にMBAホルダーがいたこともあり、自分もMBAを目指そうと決意しました。

出願自体が自分のターニングポイント

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入学式にて(左から2人目が和智さん)

私はこれまで経営を学んだことがないので、基礎をしっかり身につけられるかが大切だと思っていました。その点において、一橋ビジネススクールでは、経営戦略や会計学、マーケティングなどの基礎を初めに学び、その上で自分自身の関心のある専門領域を選べるというところが大変魅力的でした。また、昨年の8月に行われた経営管理プログラムの入学希望者説明会では、MBAで教鞭をふるう先生方の熱意溢れるご説明を直に聞き、一橋に決めました。

入学選考は、1次試験で書類選考と小論文、2次で口述試験がありました。提出書類の中には「職務・学習に関する経歴書」と「将来計画書」というものがありました。それぞれ2000字程度で、これまでの経験と入学後に探求したい研究テーマをまとめるのですが、自分の経験が持つ意味や、仕事への向き合い方について改めて考える機会となり、それを書くことでこの出願自体が自分にとってのターニングポイントになると感じました。小論文試験は、課題として示された論文を読んで、決められた時間内でいくつかの点について考察を文章化します。普段の仕事では文章もキーボード入力ですが、久し振りに鉛筆を使って文章を書く練習をしましたね。小論文試験は、経営の知識を問うというよりも課題の理解力や思考力が問われる内容なので、経営学とは畑違いの人でもチャレンジできるものでした。面接は、提出した経歴書や将来計画書の要点を整理し、家族や友人に模擬面接をしてもらいながら準備しました。MBAを本格的に意識し始めたのは、受験の年の春ごろで、夏の説明会で決心し、秋の1次試験まで一気に準備したという感じです。

一言も聞き漏らしたくないほど講義が楽しい

入学してみて、先生方は驚くほどきめ細かくアドバイスをくださり、少人数の良さをより実感しています。例えば、「経営戦略」を担当されている加藤俊彦先生(経営管理研究科教授)は提出したレポートに迅速にフィードバックをくださり、そこに書かれた一つひとつのコメントに納得したり気づきを得たりしています。「財務会計」を担当されている加賀谷哲之先生(経営管理研究科教授)も私たちが一つずつステップを上っていけるよう段階的な課題設定をしてくださり、質問に対してもとても丁寧にご対応いただけます。また、私が所属するワークショップの担当教員である佐々木将人先生(経営管理研究科准教授)は、私の研究の足りないところを的確に指摘され、打開策のヒントをくださいます。どの先生も答えを示してしまうのではなく、自分で答えに行きつけるように考え方のフレームワークを提示していただけるので、自分自身が複眼的にものを見られるようになってきたと実感します。少人数だからこそできるきめ細かいご指導のおかげだと思います。

講義は、とにかくどれもとても面白いです。仕事の後にも関わらず、夜10時までの時間を一言も聞き漏らしたくないという思いで出席しています。一方的に聞くだけの講義ではなく、どの講義もインタラクティヴに進められるので、自分の頭を使って理論を理解することができています。また、理論だけではなく現実のケースを当てはめながら、あるいは逆に個々の事象だけではなく根幹にあるものに目を向けながら議論が進むので、理論と現実の間に溝がない形で理解を深めることができます。

テクニカルに経営を学ぶだけではない

先生方からはさまざまな参考図書を紹介していただけるので、本をよく読むようになりました。それも経営学のものだけではなく、心理学や哲学などリベラルアーツ的な図書もあります。単にテクニカルに経営を学ぶだけではなく、人間としての引き出しをより多くしてくれる、より深い教養に触れられるというのは、入ってみて気づいた一橋ビジネススクールの魅力だと思います。

まだわずかな期間ですが、想像以上に「鍛えられている」と感じており、日々の業務の中などで自分自身の変化を実感しています。仕事が立て込んでいる時にMBAのレポート提出も重なったりして、「しんどい」と思うこともありますが、ここで頑張れば2年後にはもっと成長できているという確信があるので、修了時の自分の変化が楽しみでもあります。

モヤモヤを感じた時がベストタイミング

私自身は、インプットが足りない日々で漠然とした危機感があったのですが、そうしたモヤモヤ感というのは「何かを変えたい、前に進みたい」という気持ちの表れだと思います。同じように感じている方には、ぜひMBAも一つの選択肢として考えてみることをお勧めします。ただ、そうした問題意識が生まれる時期は、仕事も家庭も一番忙しい頃だったりもします。それでも、迷いながらも何かにチャレンジしたいと思った時がベストタイミングと思って、躊躇せず飛び込んでみると必ず成長が実感できる環境が待っているはずです。

(2025年8月)

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