HUB-SBA MAGAZINE

「まだ早いかな」と迷っているなら、是非チャレンジを

2025年05月21日

秋野 里奈さん

2025年3月修了
大手広告会社勤務
秋野 里奈さん

異動を機にMBAに挑戦

2017年に広告会社に入社し、5年ほどテレビ放送を絡めた新規事業を行う仕事を担当していました。ステークホルダーとなる放送局や広告主との交渉では、先方から幹部クラスの方が出席されることも多く、事業の意義を説得力のある形で説明する必要がありました。そうした経験をする中で、経営を学びたいという思いが生まれ、その後、2年間限定で投資部門に異動し、より経営に近いレベルで仕事をすることになったタイミングでMBAへの挑戦を決めました。一橋を選んだのは、「理論と現実の往復運動」を重視している点を評価したからです。MBAで学ぶ理論を実際の業務で活用する、日々の中での「理論と現実の往復運動」の実現を目指しました。

研究を通じて「理論と現実の往復運動」を実践

在学中の講義の選び方やグループワークでのテーマ選定においては、一貫して「新規事業をいかに創出するか」ということを中心に置いてきました。ワークショップレポートでは、コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)を起点とする新規事業創出について組織行動の観点から解き明かすという研究を行いました。新規事業に関する先行研究はいくつもあり、事業創出の成功パターンが理論的に解明されている部分もあります。しかし、その成功パターンが実現していない現実がある中、その理論と現実のギャップあるいは一致点がどこにあるのか、という観点で企業研究を行いました。まさに、「理論と現実の往復運動」です。

研究にあたり、研究サンプルとして3社のCVCの責任者クラスの方にヒアリングをし、実際の現場で起きているさまざまなお話をお聞きすることができました。ヒアリング先はMBAで共に学ぶ同級生からの紹介もあり、快く引き受けてくださいましたが、もし自社の肩書でお願いした場合はヒアリングの実現は難しかったかもしれません。「一橋のMBA生です。研究のためにお願いします」ということで引き受けてもらえました。こんなチャンスはなかなかないですね。

研究を進める中で、理論の組み立てが安易な方向に流れがちになることもありましたが、そんな時はご指導いただいた佐々木将人先生(経営管理研究科准教授)が「それは本当に秋野さんが明らかにしたかったことですか?」と言って気づかせてくださり、補強すべき箇所についてもとても丁寧なアドバイスをくださいました。先生のご助言のおかげで、自分が本当に研究したかったテーマについて、納得のいく示唆を得ることができました。また、講義の中で印象に残っているのは、1年目に受講した青島矢一先生(経営管理研究科教授)の「経営組織」で、そこで初めて仮説の構築からフィールド調査、検証、分析といった研究の組み立て方を学びました。2年次には、「経営哲学」(田中一弘教授)と、「M&Aの理論と実務」(田村俊夫教授)が、私にとって大きな学びとなりました。経営哲学では経営は生身の人間が行うものという視点を学び、M&Aの講義では徹底的にロジックを身につけるという、実に対照的な内容を同時期に学ぶことで、経営をさまざまな視点から幅広く捉えることの重要性を知ることができました。

MBAでの学びを生かした新規事業への挑戦

私は入社以来、テレビ放送に関わる仕事をしてきましたが、近年はSNSなどのメディアが拡がり、テレビを見ない人も増えてきました。そうした中でも、テレビはすべての人が同じ情報にアクセスできる媒体として、まだまだ発展していけると私は考えています。そのための新しい事業への取組みにMBAでの学びを生かしていきたいと思います。

若い年代でのMBAチャレンジ

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平均年齢が30代半ばの経営管理プログラムの中では、20代で入学した私は若い方でした。同期の中には、自社の上司よりも年代が上の方もおられ、そうした方々から職場の上下関係のないところでもらえるアドバイスはとても貴重なものですし、大きく視野を広げてくれました。なので、マネジメント経験がない若い年代であっても、MBAにチャレンジすることは時期尚早ということはなく、とても有意義だと思います。まだ早いかなと迷っている方は、ぜひ挑戦してみてください。

(2025年5月)

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