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【一橋大学の科研費研究】「リサーチ・テクノロジーの発展と産学の相互作用:質量分析計の事例」/高田 直樹(経営管理研究科 講師)

2025年03月05日

科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金/科学研究費補助金)は、人文学、社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的研究費」です。ピア・レビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行います。研究者によるピア・レビューという検証プロセスの利点は、研究計画の妥当性を専門家の視点からより正確に判断できるほか、応募者にとって、同じ分野の研究者に自分の研究がどう評価されるかを知る機会にもなっています。このことは、とりわけ若手の研究者にとって一つのインセンティブになっているといえます。本学の研究環境は研究大学としての文化や風土が根付いており、新規課題採択率は、例年全国1位を獲得しています。

今回は、高田直樹先生の科研費研究「リサーチ・テクノロジーの発展と産学の相互作用:質量分析計の事例」についてご紹介いたします。

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高田 直樹

2013年一橋大学商学部卒業,2015年同大学院商学研究科修了,2019年同大学院商学研究科博士後期課程修了。2019年一橋大学博士(商学)。横浜国立大学先端科学高等研究院特任助教,中央大学部商学部助教を経て,2024年より現職。研究上の関心は,個人や集団の創造性,およびイノベーションのプロセスやマネジメントにある。現在は,(1)逸脱行動とイノベーション,(2)チームの創造性と問題解決,(3)科学技術の発展と道具の進歩,(4)大企業における研究開発組織のマネジメント,などについて研究を行っている。

研究テーマ:「リサーチ・テクノロジーの発展と産学の相互作用:質量分析計の事例」

研究期間(年度):2022 - 2026  研究種目:若手研究  審査区分:小区分07080:経営学関連

研究計画:

本研究の目的は、リサーチ・テクノロジーの進歩の様相を解明することです。リサーチ・テクノロジーとは、科学研究や技術開発において用いられる道具としての技術を指し、科学的知見の創出やイノベーションの進展に大きな影響を及ぼすとされています。本研究では、質量分析計というリサーチ・テクノロジーを主要な調査対象とし、その技術進歩の要因を多角的に分析します。具体的には、特許や論文データ、科学者や装置メーカーによる歴史資料、関連学会や業界団体の目録・統計資料、さらには関連主体への聞き取り調査など、多様なデータを活用し、関係者間の相互作用が技術の進歩に与える影響を明らかにすることを目指します。

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