HUB-SBA MAGAZINE

2023年度 経営管理プログラム導入ワークショップの報告会が行われました

2023年09月04日

去る7月22日(土)に本学千代田キャンパスの大講義室にて、経営管理プログラム修士1年生による、導入ワークショップ報告会が行われました。この報告会は例年、導入ワークショップの最終回の授業として開催されるもので、1年生全員が参加し、ワークショップ各クラスの代表者による成果発表が行われます。経営管理プログラムでは、修士1年・2年を通じてワークショップが必修となっており、この報告会では、半年間の学びを踏まえて、具体的な事象に関する分析の報告や今後の研究テーマ案のプレゼンテーションが行われました。トップバッターとして、ワークショップAクラスの代表が登壇の際には、他のメンバーからの大きな声援を受け、今年の報告会が始まりました。


導入ワークショップAクラス代表
研究課題:「人を動かすプロセスに関する考察~阪神電鉄とM&Aコンサルティング社の交渉決裂~」

研究テーマは、2005年当時に実際に起きた阪神電鉄への物言う株主からの提案と交渉決裂の事案で、株主という正当化された権威と論理的な説明をもってしても、さまざまなステークホルダーが関係する中では物言う株主の戦略が奏功しなかった状況を分析し、「人を動かす」プロセスの理論化を考察する研究を発表しました。

導入ワークショップBクラス代表
研究課題:「素材・化学メーカーのDXによる『顧客起点の価値創出』についての考察」

日本企業によるDXは業務効率化を目的としたものが中心であり、新たな価値の創出を目的とする場合については、とりわけBtoB産業では難しいという現状を紹介した上で、成功事例としてブリヂストンを研究。同社によるDXを通じた価値創出のダイナミックプロセスの解明を試みた研究を発表しました。

導入ワークショップCクラス代表
研究課題:「自律的にイノベーションを起こす組織をつくるには」

題材として、発表者自身のキャリアをモデルとし、イノベーションを起こしたいという目的で会社に入ったものの、勤続年数が経つにつれモチベーションが落ちてしまうということに問題意識を持ち、社員自らイノベーションへの内発的動機が自然発火するような組織にするにはどうすればよいのか、実際の企業の取組みを調査することで、それらの共通点を探る研究を発表しました。

導入ワークショップDクラス代表
研究課題:「サステナビリティ経営による企業価値向上効果」

サステナビリティの中でも経済の観点から環境経営に注目し、評価機関による環境スコアと、PBR(Price Book-value Ratio)※1やROE(Return On Equity)※2、時価総額といった財務指標との相関関係や経時変化などを分析することで、企業が自主的にサステナビリティ経営を推進する好循環を生み出すことを目指す研究を発表しました。

※1 株価純資産倍率
※2 株主資本利益率

導入ワークショップEクラス代表
研究課題:「日本版ESOPが従業員の生産性・コミットメントに与える影響」

日本企業においてESOP(Employee Stock Ownership Plan)※3の導入により、従業員の生産性やコミットメントが高められるかを検証する研究で、発表では初期的な調査・分析において、一定の条件の下ではあるものの、生産性の向上については正の関係性が見られたとし、コミットメントについては測定指標を再検討するなどの課題を説明しました。

※3 確定拠出型企業年金プランの一種。企業が自社株を企業の拠出(全額負担)で買い付け、従業員に退職・年金給付として分配する制度

導入ワークショップFクラス代表
研究課題:「人材不足におけるホテル従業員の離職を防ぐためには何が必要か~経営層が取り組むべき課題」

日本のホテル・宿泊産業において長年の課題である人材不足を解決するためには、従業員満足度の向上がカギとなるとし、賃金が安く、肉体労働というイメージがある清掃事業において、高い従業員満足度を達成しているJR東日本グループの企業に着目し、その施策を分析することでホテル産業の経営への示唆を得る研究について発表しました。


後半冒頭には、加藤俊彦教授より、今秋冬学期に行われる「基礎ワークショップ」全体の意義について説明があり、担当教員からは、ワークショップ各クラスの内容が紹介されました。

加藤俊彦教授
経営管理プログラムのワークショップは、1年次の導入・基礎と、2年次に修士論文に相当するワークショップレポートの提出があり、2年間に渡り取り組んでいきます。1年次後半の『基礎ワークショップ』では、前半の『導入ワークショップ』での学びを基盤として、最終的に提出するワークショップレポートに向けて、深く考察する能力を育んでいただきたいと思います。

各ワークショップから1名が研究テーマを発表
各ワークショップから1名が研究テーマを発表

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