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沼上先生退職記念謝恩会 ~一橋ビジネススクールへの貢献に感謝して~

2023年04月24日

3月19日(日)、如水会館(東京都千代田区)において、2023年3月末をもって教授を退職される沼上幹先生への謝恩会が行われ、2018年に創設された一橋ビジネススクールの歴代修了者、現役生、教員など総勢162名が参集しました。ここ数年はコロナ禍のため修了式後のイベントが行えなかったこともあり、今回は多くの参加者が会場にあふれる盛大な謝恩会となりました。

布施潮美さんによる感謝の言葉
布施潮美さんによる感謝の言葉

冒頭、荒金美知子さん(経営管理プログラム3期生)と平川穂乃香さん(同5期生)の開会宣言から始まり、修了者および在学生を代表し、布施潮美さん(同4期生)が乾杯のあいさつに立ちました。布施さんは、「沼上先生のご指導で思い出深いのは、皆で行った外交ゲームです。これによって仲間との絆を深め、戦略や交渉の重要性を学ぶことができました」と述べた上で、「私たちが今後、ビジネスの現場で大いに活躍することが、一橋ビジネススクールの価値を証明することになります。本学の発展に寄与できるよう、今後もたゆまぬ努力を続けてまいります」とあいさつしました。

以下では、壇上に立った方のスピーチを紹介します。

感謝の言葉(花束贈呈) 謝恩会代表幹事 下河辺さやこさん(同1期生)

下河辺さやこさんによる花束贈呈
下河辺さやこさんによる花束贈呈

私(下河辺)は、以前は雑誌の編集者でしたが、一橋MBA修了直後に会社から事業開発を命じられ、いくつかの新規事業を手掛けてきました。それぞれ予測を越える成長をしており、これも沼上先生をはじめ、一橋の先生方のおかげと深く感謝しております。ここ数年、パンデミックにより世の中の景色は一変してしまいましたが、沼上先生からの教えは普遍的なことが多く、私たちの胸に深く刻まれています。沼上先生のご退職は残念ですが、私たちが社会に貢献することで恩返ししていきたいと思います。

沼上幹先生のお言葉

「一つの学校を作り上げたことを誇りに思う」

お話しされる沼上幹先生
お話しされる沼上幹先生

一橋において大学院大学化の構想は、1991年に始まりました。当時の修士生はわずか4人であり、大学院大学として修士生70名を教育する体制を構築するまでには、大改革が必要でした。そのため学内での議論は延々と続き、10年を経た2001年にようやくHMBA(現在の経営分析プログラムの前身)が実現しました。しかし、その後も苦難の道は続きました。当時の日本企業において、経営理論の価値を理解する人が少なく、MBAで学ぶことの「ROI」(投資収益率:投資に対して得られた利益の率)が高く感じられないという問題がありました。しかしながら、その後、日本は大きく変わり、大量の成熟産業を抱え、それらの業績回復が重大な命題となりました。そうした中で、産業革新機構などで大いに活躍した人材が産業界に散らばり、さまざまなところでプロフェッショナルな経営人材が活躍する場が生まれました。これによりMBA教育の価値が認められるようになり、人材の引き合いも強くなったわけです。このような流れの中で一橋ビジネススクールも大きく発展しました。20年かかりましたが、一つの学校をしっかり作り上げることができたことを誇りに思っています。

「皆さんの我流の考え方は一度壊す」

沼上幹先生

私の役割は、「経営戦略」という授業を通じて、皆さんが社会人経験の中で得てきた我流の考え方を一度壊し、これまでの経験は必ずしも役に立たないというマインドセットを作ることでした。そのため、いくつかの教育コンセプトを作りました。例えば、「Strategist on the spot」つまり、何かの現象に遭遇した際に、現象面だけではなく、背後のメカニズムを解明し標準化するという考え方を教えたり、「Read, Write, Reflect」つまり「読み、書き、考える」という学習プロセスによる深い思考力の獲得を促すといったことです。一橋ビジネススクールでの教えの特徴は、時間とともに進化する最新の理論を教えるだけでなく、自らをアップデートしていくための学び方、あるいは自ら成長する方法を教えていることです。皆さんも、常に成長を追い求めながら、日本社会を活力あるものにしていってくれるよう期待しています。

ごあいさつ 加藤俊彦 経営管理研究科長

加藤俊彦研究科長のスピーチ
加藤俊彦研究科長のスピーチ

沼上先生が先頭に立って一橋ビジネススクールが創設されたとき、当時、中間管理職の役割だった私は、本当に上手くいくのか不安でした。それが今や、入試倍率もとても高くなり、目覚ましい成長を見せています。今後も引き続き一橋ビジネススクールが社会的認知度を高めていくためには、修了者の皆さんが継続して学びを深め、実践し、「さすが一橋MBAの人は違う」と思ってもらうことが重要です。皆さんの益々のご活躍を期待しています。

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