2022年10月01日
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機械メーカー
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機械系の学部を卒業後、技術経営を学ぶ大学院(MOT)に通った後にメーカーに新卒入社しました。調達部門で6年間従事後、社内公募制度を利用し経営管理部の企業買収を専門に行う現在の部署に異動しました。そこで2年経った2020年4月に一橋ビジネススクール(経営管理プログラム)に入学しました。
かつて卒業したMOTは約8割が社会人で、新卒生は少数派。社会人学生は業務を通じて得た課題感を持って学ばれていましたが、新卒生の私は課題感が希薄でした。ですから、MOT卒業時から、社会人になって以後に、業務を通じて得た課題を解決するためにもう一度学び直したいという思いを抱いており、その念願がかなったと言えます。
MOTで経営に関する知識に触れていたものの、もう10年以上前のことですし、現在の業務に必要な財務や法律、経営戦略の理論やフレームワークを改めて体系的にしっかり学びたいと思いました。そこで今回、ビジネススクールを選ぶに当たっては、あらゆる面のクオリティが高いことを第一条件とし、働きながら学べる夜間のコースであること、自宅から通いやすい場所にあることも考慮して、一橋の経営管理プログラム(千代田)を選択しました。
入学後は、家庭と仕事とのバランスに神経を使いました。入学の直前に第2子が生まれ、2歳上の第1子の育児と合わせ、とても大変な時期であり、時には子どもを抱きながらリモートでゼミに参加したこともありました。妻には大いに助けられました。また仕事との両立も大変ではありましたが、理解ある職場であり感謝しています。
2年次には島本実先生のワークショップに参加し、島本先生のご指導のもと、ワークショップレポートをまとめました。私の研究テーマは、M&A巧者と言われる企業が、なぜM&A巧者たりえるのかについての分析です。島本先生のご指導から、特に、因果関係の重要性を学びました。様々な要素をつなぎ合わせてストーリー化して結論を出す際に、AだからDのように飛躍させず、AだからB、BだからC、CだからDというように、ステップを経て組み立てて分析することの重要性を教えていただくことができました。
ワークショップ以外で印象に残った授業には、例えば沼上幹先生の「経営戦略」があります。基礎をしっかり学ぶことができたとともに、課題へのフィードバックが厳格で、非常に刺激的でした。課題に対して丁寧に内容を精査してくださって、かつ、厳しく指導してくださったがゆえに、学んだ理論、フレームワークを日々の業務で活用することができました。
「M&Aの理論と実践」の田村俊夫先生の授業も、インプットとフィードバックの量が圧倒的でした。私は入学前、業務で英文の契約書を読むときに、どこに注目すべきかわからずにいたのですが、そのポイントについて、田村先生の実務経験を反映した着眼点を教えていただけたことは、日々の業務に直接的に役立っています。こうして、学びながら業務に反映できたのも、働きながら学んだからこそだと思います。
一橋ビジネススクールは想像していたとおり、教授陣、それから周りの学生のクオリティが高い。学生については多様性も豊かで、グループワークの際には業界としても業種としても、たいへん多彩なバックグラウンドを持つ同級生たちの考え方に触れられたこともいい経験です。私は技術系出身であり、メーカーで働いているため視点は技術寄りですし、会社特有の風土の影響も受けています。まったく違う分野のまったく違う視点を持つ人と交わることで、視野を広げることができ、視点を多角化できたと感じています。
当初の目的通り、経営に関する知識やフレームワークを体系的に学べ、問題へのアプローチの方法を刷新できたことが、私にとって最も大きな成果でした。それまでは、自身の経験や直感を頼りに自分なりにフレームワークを組み立てていたのですが、既存のフレームワークや理論をベースにすることで、より多くの人から賛同や理解を得られるようになりました。おかげさまで上司からも「MBAで学んできたことを活かして、成果を出している」と評価してもらえています。また、かつての自分の視座は担当者レベルのそれであったことにも気づかされました。視座を高くする、つまり、より経営者に近づけるようにという意識が生まれたことも、自分では大きな変化だと感じ、今後の糧になるのではと思っています。
(2022年4月掲載)